% 基本事項A4.1.1:約数と倍数,素数と合成数(One More)
(1)2つの整数$a,b$について,ある整数$k$を用いて$a = bk$と表されるとき,$b$は$a$の約数といい,$a$は$b$の倍数という. (2)倍数の判定法 $2$の倍数$\cdots$ 一の位が偶数 $3$の倍数$\cdots$ 各位の数の和が$3$の倍数 $4$の倍数$\cdots$ 下2桁が$4$の倍数または$00$ $5$の倍数$\cdots$ 一の位が$0$または$5$ $6$の倍数$\cdots$ $2$の倍数かつ$3$の倍数 $8$の倍数$\cdots$ 下3桁が$8$の倍数または$000$ $9$の倍数$\cdots$ 各位の数の和が$9$の倍数 $10$の倍数$\cdots$ 一の位が$0$ (3)2以上の自然数において,1とその数以外に約数をもたない数を素数といい,素数ではない数を合成数という.ただし,1は素数でも合成数でもない. 整数がいくつかの整数の積で表されるとき,その積の1つ1つの整数をもとの整数の因数という.とくに,素数である因数を素因数といい,自然数を素数の積の形に表すことを素因数分解するという. (4)自然数$N$が$N=p^aq^br^c\cdots$と素因数分解されているとき, (i)$N$の約数の個数は, $$(a+1)(b+1)(c+1)\cdots (\text{個})$$ (ii)$N$の約数の総和は, $$(1+p+p^2+\cdots +p^a)(1+q+q^2+\cdots +q^b)(1+r+r^2+\cdots +r^c)\cdots$$
% 基本事項A4.1.2:最大公約数と最小公倍数(One More)
(1)2つ以上の整数に共通する約数をそれらの整数の公約数といい,公約数のうち最大のものを最大公約数という.また,2つ以上の整数に共通する倍数をそれらの整数の公倍数といい,公倍数のうち正で最小のものを最小公倍数という. (2)2つの自然数$a,b$の最大公約数が1であるとき,$a,b$は互いに素であるという. (3)2つの自然数$a,b$の最大公約数を$g$,最小公倍数を$l$とする.$a = g a^\prime$,$b = g b^\prime$($a^\prime,b^\prime$は互いに素な自然数)とすると,次のことが成り立つ. $$l=a^\prime b^\prime g,ab=gl$$
% 基本事項A4.1.3:整数の除法と余りによる分類(One More)
整数$a$と正の整数$b$について, $$ a=b q+r (0 \leqq r<b) $$ を満たす整数$q,r$をそれぞれ,$a$を$b$で割ったときの商,余りという.$r=0$のとき,$a$は$b$で割り切れるという.また,$r\neq 0$のとき,$a$は$b$で割り切れないという. (2)余りによる整数の分類 すべての整数$n$は,正の整数$m$が与えられているとき,次のいずれかの形で表される. $$ mk,mk + 1,mk + 2,\cdots,mk + (m - 1) (k \text{ は整数}) $$ (3)割り算の余りの性質 $m$を正の整数とし,2つの整数$a,b$を$m$で割ったときの余りをそれぞれ$r,r^\prime$とすると,次のことが成り立つ. (i)$a + b$を$m$で割った余りは,$r + r^\prime$を$m$で割った余りに等しい. (ii)$a - b$を$m$で割った余りは,$r - r^\prime$を$m$で割った余りに等しい. (iii)$ab$を$m$で割った余りは,$rr^\prime$を$m$で割った余りに等しい. (iv)$a^n$を$m$で割った余りは,$r^n$を$m$で割った余りに等しい($n$は自然数).
% 基本事項A4.1.4:合同式(One More)
以下,$a,b,c,d$を整数,$m,n$を自然数とする. (1)$a,b$を$m$で割ったときの余りが等しいとき,$a$と$b$は$m$を法として合同であるといい,$a \equiv b \pmod{m}$と表す.また,このような式を合同式という. (2)合同式の性質 反射律$\cdots a \equiv a \pmod{m}$ 対称律$\cdots a \equiv b \pmod{m}$のとき,$b \equiv a\pmod{m}$ 推移律$\cdots a \equiv b \pmod{m},b \equiv c\pmod{m}$のとき,$a \equiv c \pmod{m}$ (3)$a \equiv b \pmod{m}$,$c \equiv d \pmod{m}$のとき,次のことが成り立つ. (i)$a + c \equiv b + d \pmod{m}$ (ii)$a - c \equiv b - d \pmod{m}$ (iii)$ac \equiv bd \pmod{m}$ (iv)$a^n \equiv b^n \pmod{m}$
% 基本事項A4.2.1:ユークリッドの互除法(One More)
次の操作を余りが$0$となるまで繰り返して,2つの自然数$a,b$の最大公約数を求める方法をユークリッドの互除法または単に互除法という. [1]$a$を$b$で割ったときの余りを$r$とする. [2]$r=0$のとき,このときの$b$が最大公約数である.$r>0$のとき,$b$を$a$に,$r$を$b$とおいて[1]に戻る.
% 基本事項A4.2.2:1次不定方程式と整数の性質(One More)
$a,b,c$を整数とし,$a\neq 0,b\neq 0$とする.このとき,1次方程式$ax+by=c$を1次不定方程式といい,1次不定方程式を満たす整数$x,y$の組を,この方程式の整数解という.また,この方程式のすべての整数解を求めることを,1次不定方程式を解くという. (1)方程式$ax+by=0 (a,b \text{ は互いに素})$の整数解 方程式を変形すると,$a x=-b y$ $a,b$は互いに素であるから,$x$は$b$の倍数である. よって,$k$を整数として,$x=b k$と表される. ここで,$x=b k$を$a x=-b y$に代入することにより,$y=-a k$ (2)方程式$ax+by=c (a,b \text{ は互いに素})$の整数解 (1)のような右辺が0のときに帰着させるために,1組の整数解を見つける. 方程式$ax+by=c\cdots (\mathrm{i})$の1組の解を$x=p,y=q$とすると, $a p+b q=c\cdots (\mathrm{ii})$ (i)$-$(ii)より$a(x-p)+b(y-q)=0$ すなわち,$a(x-p)=-b(y-q)\cdots (\mathrm{iii})$ $a,b$は互いに素であるから,$x-p$は$b$の倍数である. よって,$k$を整数として,$x-p=bk$と表される. (iii)に代入して,$y-q=-ak$ したがって,解は$x=b k+p,y=-a k+q (k \text{は整数})$
% 基本事項A4.2.3:記数法(One More)
$n$は1より大きい整数であるとする.このとき,0から$n-1$までの$n$個の数字を用いて,$n$で位が1つ繰り上がるように数を表す方法を$n$進法という. \begin{tabular}{|r||c|c|c|c|c|c|c|c|c|l|c|} \hline 10進法&1&2&3&4&5&6&7&8&9&$\cdots$&16\\ \hline 2進法&$1$&$10$&$11$&$100$&$101$&$110$&$111$&$1000$&$1001$&$\cdots$&$10000$\\ \hline \end{tabular} $n$進数では,その数の右下に$(n)$と記す. 例:$2$進法の$1010_{(2)}$を10進法で表す. $$1010_{(2)}=1 \times 2^3+0 \times 2^2+1 \times 2+0=10$$ 例:10進法の$30$を2進法で表す. $30$を右のように2で割ると, $$30=1\times 2^4+1\times 2^3+1\times 2^2+1\times 2+0=11110_{(2)}$$
% 基本事項A4.2.4:部屋割り論法(One More)
「$n$個の部屋に$n+1$人を入れるとき,2人以上入っている部屋が少なくとも1つは存在する」 このような考え方を部屋割り論法または鳩の巣原理という. 部屋割り論法は,次の形でも使われる. 「$n$個の部屋に$n$人を入れるとき,相部屋がない場合,どの部屋にも1人ずつ人が入っている」
% 基本事項A4.2.5:ガウス記号(One More)
$x,y$を実数,$n$を整数とする.このとき,$x$について,$x$以下の最大の整数を$[x]$と表す([]をガウス記号という).また,次の性質が成り立つ. (i)$[x] \leqq x<[x]+1$より,$x-1<[x] \leqq x$ (ii)$[x]+[y] \leqq [x+y]$ (iii)$[x+n] = [x]+n$ 例:$[1.1]=1,[4]=4,[-3.9]=-4,[\sqrt{3}]=1,[\pi]=3$
% 基本事項A4.2.6:格子点(One More)
$xy$平面において,$x$座標,$y$座標がともに整数である点を格子点という. 例:$(1,2)$や$(-3,2)$などは格子点であり,$(\frac{1}{2},-\frac{1}{2})$は格子点ではない.
% 基本事項A4.2.7:平面上の点の位置(One More)
平面上に点Oをとり,Oで互いに直交する2本の数直線を,右の図のように定める.これらの直線をそれぞれ$x$軸および$y$軸といい,まとめて座標軸という. 平面上に座標軸を定めると,その平面上の点$\mathrm{P}$の位置は,右上の図のように2つの実数の組$(a,b)$で示される.この組$(a,b)$を点$\mathrm{P}$の座標といい,この点$\mathrm{P}$を$\mathrm{P}(a,b)$と記す.座標が定められた平面を座標平面という. また,点Oは座標平面の原点といい,原点Oの座標は$(0,0)$である.
% 基本事項A4.2.8:空間の点の位置(One More)
空間上に点Oをとり,Oで互いに直交する3本の数直線を,右の図のように定める.これらの直線をそれぞれ$x$軸,$y$軸,$z$軸という. 空間上に座標軸を定めると,その空間上の点Pの位置は,右の図のように3つの実数の組$(a,b,c)$で示される.この組$(a,b,c)$を点Pの座標といい,座標が$(a,b,c)$である点PをP$(a,b,c)$と記す.座標の定められた空間を座標空間という.また,点Oは座標空間の原点といい,原点Oの座標は$(0,0,0)$である. \tdplotsetmaincoords{60}{120}
% 基本事項A4.2.9:2点間の距離(One More)
(1)座標平面において,点$\mathrm{A}(x_1,y_1)$,点$\mathrm{B}(x_2,y_2)$,および原点$\mathrm{O}(0,0)$があるとする.このとき, $$ \mathrm{AB} = \sqrt{(x_2 - x_1)^2 + (y_2 - y_1)^2} $$ とくに,$\mathrm{OA} = \sqrt{{x_1}^2 + {y_1}^2}$である. (2)座標空間において,点$\mathrm{A}(x_1,y_1,z_1)$,点$\mathrm{B}(x_2,y_2,z_2)$,および原点$\mathrm{O}(0,0,0)$があるとする.このとき, $$ \mathrm{AB} = \sqrt{(x_2 - x_1)^2 + (y_2 - y_1)^2 + (z_2 - z_1)^2} $$ とくに,$\mathrm{OA} = \sqrt{{x_1}^2 + {y_1}^2 + {z_1}^2}$である.