- Onemathについて
- 著者について
- 動画制作の方針について
- 参考書について(One More)
- 制作環境について
- ソースコード・文字数について(One More)
- 字幕関連について(One More)
- 最後に
※主にOnemathの教材制作の裏話についてのQ&Aをまとめました.
Onemathについて
- Onemathの目的は何ですか?
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「数学教育の世界に少しでも役立ちたい」という気持ちでスタートしました.誰にでも簡単に手に取れる教材を,というボランティアに近い感覚で取り組んでいます.例を挙げると,ゲーム業界の桜井政博さんのような活動に憧れていますね.彼が投稿したYouTube動画には大変感銘を受けました.また,教材を公開してフィードバックを得ることで,自身の教材の完成度をより高めたいという考えもあります.
- 動画の収益化を考えていますか?
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学習者が集中して勉強できる環境を第一に考えており,広告を入れる予定は今のところありません.チャンネル登録者数などが増えてくると,収益化していなくても勝手に広告が入る可能性はあると聞いていますが,あえて自分から積極的に広告を入れるつもりはないです.
著者について
- 職業は何をしていますか?
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公立高校の教員をしています.私のことは「犬飼シムラ」などと呼んでください(ペンネームです).ちなみに,漫画と犬が好きです.
- どうしてペンネームなのですか?
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漫画家のようにペンネームを採用しています.私自身について詳しく語らず,なるべく皆さんには純粋に,教材に集中していただきたいという思いがあります.
- 漫画が好きなんですか?
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ワンパンマン,ハンターハンター,葬送のフリーレンなどが好きです.ワンパンマンのような「精神性」,ハンターハンターのような「緻密さ」,そして葬送のフリーレンのような「まったり感」を目指しながら教材を作っていきたいと思っています(何を言っているのでしょうかね…).
- マスコットキャラクター(Oneちゃん)は何のためにいるのですか?
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数学を身近に感じてもらうきっかけと,広報的な役割を担わせています.私ひとりのセンスだと地味で真面目になりがちなので,「この犬かわいい」と思ってもらえることが入口になり,数学に興味を持ってもらえれば嬉しいです.
動画制作の方針について
- BGMはつけないのですか?
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集中して学習してもらいたいため,あえてBGMは入れていません.
- アニメーションはつけないのですか?
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技術的には全面的にアニメーションを導入することもできますが,考える力を養うためにも,むやみに映像を多用しない方がいいと個人的に考えています.現状では,一部の動画に限定してアニメーションをつけています.
- アニメーションはどうやって作っていますか?
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manimを使って作っております.数学的なアニメーションの制作に適しているので愛用しています.
参考書について(One More)
- 側注に用語の別称が多いですが,どんな意図があるのですか?
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さまざまな数学書に対応できるよう,いろいろな表現に慣れておいてほしいと思っています.本書以外にもいろいろな参考書に触れてもらうきっかけになると嬉しいです.
- 側注の矢印を本文(解答部分)の行に合わせるのはどのように実装していますか?
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tcolorboxを使っていますが,やや強引に実装している部分もあり,今のところソースコードの公開予定はありません.
制作環境について
- emathを使っていますか?
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使っていません.図形はすべてPGF/TikZで手作りしています.手間はかかりますが,その分クオリティを高められると考えています.
- 音声ソフトは何を使っていますか?
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「VOICEPEAK 商用可能 6ナレーターセット」を使っています.
- 動画編集ソフトは何を使っていますか?
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Final Cut Proを使っています.
- 参考書作成はLaTeXを使っているのですか?
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はい.「One More」の巻末にも記していますが,すべてLaTeXを使って作成しています.
- 普段はどのような執筆環境ですか?
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教員という仕事柄,外出が多いのでOverleafを多用しています.以前はPerlやYaTeX,Bashなどでゴリゴリやっていましたが,現在はOverleaf,VSCode,Python,Bash,AppleScriptなどを使い,まったりと執筆しています.
ソースコード・文字数について(One More)
- LaTeXのソースコードの行数はどのくらいですか?
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無駄なこだわりばかりなので,数学Iと数学Aを合わせると11万行近くになりますね.もっとスマートに書ける方もいるとは思います.字幕のソースコードやその他を含めるとさらに増えます.
- 文字数はどのくらいですか?
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字幕の音声ファイル用テキスト,字幕のLaTeX用テキスト,本文用テキストなどの文字数を全て合わせて数えると,大体500万文字前後にはなると思います(正確には数えていませんが).コマンドの文字数も含めて数えるとそのくらいになりますね.
字幕関連について(One More)
- 字幕はどのように作っているのですか?
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自作の簡単なアプリのようなツールを用いて作りました.それでも手作業の部分が多いので,膨大な時間がかかっています.字幕をLaTeXで作成し,数式を見やすくする工夫をしたのがこだわりのポイントです.
- 字幕は何のために作ったのですか?
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字幕があることで学習効率も上がると思います.また,静かな場所で音を出せないときや,イヤホンが使えないときにも安心して学べますし,聴覚に障害のある方にも学びやすい環境を提供したいという思いがあります.
- 音声を作るためのテキストは字幕とは別ですか?
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はい,字幕とは別に作っています.誰かがLaTeXから自動的に日本語字幕を生成できるようなアプリか何かを作ってくれたら楽なのになと感じています.
最後に
- 「One More」の制作期間はどのくらいですか?
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1万時間まではいっていないと思いますが,この規模の参考書の執筆は初めてだったこともあり,予想以上に時間がかかりました.効率化を進めながら作ってきたので,今後はもう少し早く作れると思います.
- 「One More」の制作で一番辛かった作業は何ですか?
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校正作業です.少なくとも100周はしたのでそれなりに大変でした.
- AIは使わないのですか?
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現状はほとんど使っていません(挿絵に関しては,絵を描くのが苦手なので少し使いました).PGF/TikZを用いた図版などは,まだAIでうまく作れない部分も多いですし,書籍としてまとめる段階で表記ゆれが発生するのも気になります.AIの進化によって今後は状況が変わるかもしれませんが,手作りだからこそ伝わる良さがあると感じており,それを伝えたいです.
- 今後の展望や目標は何ですか?
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とりあえずは数学II・B版の「One More」を作りたいですね.その他にも,様々な便利な教材を公開して,皆さんの学習の一助となればと考えています.
- これから学ぶ人へのメッセージはありますか?
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Onemathでは,皆さんの学習を可能な限りサポートしていきたいと考えております.特に網羅系の参考書はどうしても分量が多く,学習の負担が大きくなりがちですので,「One More」のPDF版ではリンク機能などをふんだんに盛り込みました.苦手な分野や興味のある分野だけを印刷して学習するなど,使い方は自由です.ぜひともOnemathを活用して,着実に力をつけていただければ幸いです.