% 節末I2.1.1★
$P=\{a, b, c\}$の部分集合をすべて求めよ.
% 節末I2.1.2★★
実数全体を全体集合とし,その2つの部分集合を$A=\{x \mid | x-1 |<\sqrt{6} \}, B=\{x \mid-a \leqq x \leqq a\}$とするとき,次の問いに答えよ.ただし,$a$は正の定数とする. (1)$A \supset B$となる$a$の値の範囲を求めよ. (2)$A \cup B$に属する整数の個数が9個となる$a$の値の範囲を求めよ.
% 節末I2.1.3★★★
次の命題の真偽を調べよ.また,真のときにはその証明をし,偽のときは具体的な反例を挙げよ.ただし,$x, y$は実数とし,$\sqrt{2}, \sqrt{5}$は無理数であることを用いてもよい. (1)$x$が無理数,$y$が有理数ならば,$x+y$は無理数である. (2)$x^2-x$が有理数ならば,$x$は有理数である. (3)$x, y$がともに無理数ならば,$x+y, x^2+y^2$のうち少なくとも一方は無理数である.
% 節末I2.1.4★★★
次の$\fbox{ }$に最も適するものを,(i)〜(iv)から選べ.ただし,$a, b, c$は実数とする. (1)$a=b$は,$ac=bc$であるための$\fbox{ }$ (2)$a=b=c$は,$a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca=0$であるための$\fbox{ }$ (3)$a^2>b^2$は,$a>b$であるための$\fbox{ }$ (i)必要条件であるが十分条件ではない (ii)十分条件であるが必要条件ではない (iii)必要十分条件である (iv)必要条件でも十分条件でもない
% 節末I2.1.5★★
次の命題が成り立つことを対偶を用いて証明せよ. $x, y$がともに正の数のとき,$x^2+y^2 \geqq 4$ならば,$x \geqq \sqrt{2}$または$y \geqq \sqrt{2}$である.
% 節末I2.1.6★★★★
整数$a, b$を係数とする2次方程式$x^2+a x+b=0$が有理数の解$r$をもつならば,$r$は整数であることを証明せよ.
% 章末I2.1★★★
$\mathbb{Z}$を整数全体の集合とするとき,次のことを証明せよ. $A=\{5x+2 y \mid x \in \mathbb{Z}, y \in \mathbb{Z}\}$であるとき,$A=\mathbb{Z}$
% 章末I2.2★★★
次の命題の真偽を調べよ.また,真のときにはその証明をし,偽のときには具体的な反例を挙げよ.ただし,$a, b$を自然数とする. (1)$a$が奇数かつ$b$が奇数ならば,$a^2+b^2$が偶数 (2)$a^2+b^2$が偶数ならば,$a$が偶数かつ$b$が偶数 (3)$a^2+b^2$が奇数ならば,$a$が奇数または$b$が奇数
% 章末I2.3★★
次の命題を証明せよ.ただし,$m, n$は正の整数,$m>n$とする. $\frac{m+n}{m-n}$が既約分数ならば,$\frac{n}{m}$は既約分数である.
% 章末I2.4★★★
$\sqrt{a}+\sqrt{b}$が有理数ならば,$\sqrt{a}, \sqrt{b}$はともに有理数であることを証明せよ.ただし,$a, b$を正の有理数とする.
% 章末I2.5★★
三角形の内角で,$60^\circ$以上のものが少なくとも1つ存在することを証明せよ.
% 解答(節末)I2.1.1
$$ \varnothing, \{a\}, \{b\}, \{c\}, \{a, b\}, \{a, c\}, \{b, c\}, \{a, b, c\}$$
% 解答(節末)I2.1.2
(1)不等式$|x-1|<\sqrt{6}$を解くと $-\sqrt{6}<x-1<\sqrt{6}$より,$1-\sqrt{6}<x<1+\sqrt{6}$ したがって,$A=\{x \mid 1-\sqrt{6}<x<1+\sqrt{6}\}$であるから,右の数直線より,$A \supset B$となるのは $$ 1-\sqrt{6}<-a $$ よって,$a>0$より,$ 0<a<-1+\sqrt{6}$ (2)$A$に属する整数は,$-1, 0, 1 , 2 , 3$の5個であるから,$A \cup B$に属する整数が,$-4,-3,-2,-1, 0, 1, 2, 3, 4$の9個になればよい. よって,右の数直線より, $$4 \leqq a<5$$
% 解答(節末)I2.1.3
(1)$x$が無理数かつ$y$が有理数ならば,$x+y$が有理数であると仮定すると, $$x=(x+y)-y$$ となる.しかし,これは左辺が無理数,右辺が有理数となり,$x$が無理数であることに矛盾する. したがって,$x$が無理数かつ$y$が有理数ならば,$x+y$は無理数である. よって,命題は真である. (2)$x^2-x=1$とすると,$x^2-x-1=0$ これを解いて,$x=\frac{1\pm \sqrt{5}}{2}$ $\sqrt{5}$は無理数であるから,$x$は無理数である. よって,命題は偽である. 反例は,$x^2-x=1$ (3)$x=\sqrt{2},y=-\sqrt{2}$のとき,$x,y$はともに無理数であるが,$x+y=0,x^2+y^2=4$であるから,$x+y,x^2+y^2$はどちらも無理数ではない. よって,命題は偽である. 反例は,$x=\sqrt{2},y=-\sqrt{2}$
% 解答(節末)I2.1.4
(1)「$a=b \Longrightarrow ac=bc$」は,真である. 「$ac=bc \Longrightarrow a=b$」は,偽である.反例は,$a=1,b=2,c=0$ よって,(ii)十分条件であるが必要条件ではない (2) $ \begin{aligned} a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca=0 &\Longleftrightarrow(a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2=0\\ &\Longleftrightarrow a=b=c\end{aligned}$ よって,(iii)必要十分条件である (3)「$a^2>b^2 \Longrightarrow a>b$」は,偽である.反例は,$a=-1,b=0$ 「$a>b \Longrightarrow a^2>b^2$」は,偽である.反例は,$a=0,b=-1$ よって,(iv)必要条件でも十分条件でもない
% 解答(節末)I2.1.5
もとの命題の対偶「$x, y$がともに正の数のとき,$x<\sqrt{2}$かつ$y<\sqrt{2}$ならば,$x^2+y^2<4 $」を証明する. $x$は正の数であり,$x<\sqrt{2}$より,$x^2<2\cdots(\mathrm{i})$ $y$は正の数であり,$y<\sqrt{2}$より,$y^2<2\cdots(\mathrm{ii})$ したがって,(i)と(ii)の辺々を足し合わせて,$x^2+y^2<4$ ゆえに,対偶は真である. よって,対偶が証明されたから,もとの命題も成り立つ.$\blacksquare$
% 解答(節末)I2.1.6
$x^2+a x+b=0$が有理数の解$r$をもつから, $r=\frac{m}{n}(m$と$n$は1以外に公約数をもたない整数,$n \neq 0$) と表される. このとき,$\left(\frac{m}{n}\right)^2+a \cdot \frac{m}{n}+b=0$ すなわち,$m^2+amn+b n^2=0$ したがって, $m^2=-n(am+bn)\cdots(\mathrm{i})$ $n \neq \pm 1$と仮定すると,$n$はある素数$p$を約数にもつ. このとき,(i)より$m^2$は素数$p$を約数にもつ. $m^2$が素数$p$を約数にもてば,$m$も素数$p$を約数にもつ. これは,$m$と$n$が1以外に公約数をもたないことに矛盾する. したがって, $ n=\pm 1 $ よって,$r$は整数である.$\blacksquare$
% 解答(章末)I2.1
(i)$a \in A$とすると,$a=5x+2y(x,y\in \mathbb{Z})$と表すことができる. $5x+2y$は整数であるから,$a \in \mathbb{Z}$ すなわち,$a \in A$ならば,$a \in \mathbb{Z}$であるから,$A \subset \mathbb{Z}$ (ii)$a \in \mathbb{Z}$とすると, $a=5a+2(-2a)$であり,$a,-2a$はともに整数であるから, $$5a+2(-2a)\in A$$ すなわち,$a \in \mathbb{Z}$ならば,$a \in A$であるから,$\mathbb{Z} \subset A$ よって,(i),(ii)より,$A \subset \mathbb{Z}$かつ$\mathbb{Z} \subset A$であるから,$A=\mathbb{Z}$が成り立つ.$\blacksquare$
% 解答(章末)I2.2
(1)$a,b$は奇数であるから, $a=2m+1,b=2n+1(m,n$は整数) とおくと, $$\begin{aligned} a^2+b^2 &=(2m+1)^2+(2n+1)^2 \\ &=\left(4m^2+4m+1\right)+\left(4n^2+4n+1\right)\\ &=2\left(2m^2+2m+2 n^2+2n+1\right) \end{aligned}$$ したがって,$2m^2+2m+2n^2+2n+1$は整数であるから,$a^2+b^2$は偶数である. よって,命題は真である. (2)$a=3,b=3$のとき,$a^2+b^2=18$となり,$a^2+b^2$は偶数であるが,$a,b$はともに奇数である. よって,命題は偽である.反例は,$a=3,b=3$ (3)もとの命題の対偶「$a$が偶数かつ$b$が偶数ならば,$a^2+b^2$が偶数」が正しいことを証明する. $a,b$は偶数であるから,$a=2m,b=2n(m,n$は整数) とおくと, $$a^2+b^2=(2m)^2+(2n)^2=4m^2+4n^2 =2\left(2m^2+2 n^2\right)$$ $2m^2+2n^2$は整数であるから,$a^2+b^2$は偶数である. よって,対偶が証明されたので,もとの命題は真である.
% 解答(章末)I2.3
もとの命題の対偶「$m, n$が共通の素因数をもつならば,$m+n, m-n$は共通の素因数をもつ」を証明する. $m, n$に共通の素因数を$k$として,$m=ka, n=kb$($a, b$は整数)とおくと, $$m+n=k(a+b), m-n=k(a-b)$$ これらは,共通の素因数$k$をもつ. よって,対偶が証明されたから,もとの命題も成り立つ.$\blacksquare$
% 解答(章末)I2.4
$\sqrt{a}+\sqrt{b}=r$($r$は正の有理数)とおくと,$\sqrt{b}=r-\sqrt{a} \cdots(\mathrm{i})$ (i)の両辺を2乗すると, $b=(r-\sqrt{a})^2$ したがって,$b=r^2-2 r \sqrt{a}+a$ ゆえに,$2 r \sqrt{a}=r^2+a-b$ $r$は正の有理数であるから,両辺を$2r( \neq 0$)で割って, $$ \sqrt{a}=\frac{r^2+a-b}{2 r} $$ ここで,$a, b, r$は正の有理数であるから,$\frac{r^2+a-b}{2r}$は有理数であり,$\sqrt{a}$も有理数となる. また,$\sqrt{a}$が有理数のとき,(i)より,$\sqrt{b}$も有理数である. よって, $\sqrt{a}+\sqrt{b}$が有理数ならば,$\sqrt{a}, \sqrt{b}$はともに有理数である.$\blacksquare$
% 解答(章末)I2.5
$\triangle\mathrm{ABC}$において,すべての内角が$60^{\circ}$未満であると仮定すると, $$ \angle \mathrm{A}<60^{\circ}, \angle \mathrm{B}<60^{\circ}, \angle \mathrm{C}<60^{\circ} $$ これらの角度を足し合わせると, $$ \angle \mathrm{A}+\angle \mathrm{B}+\angle \mathrm{C}<180^{\circ} $$ これは,三角形の内角の和が$180^{\circ}$であることに矛盾する. よって,三角形の内角で$60^{\circ}$以上のものが少なくとも$1 つ$存在する.$\blacksquare$