% 例題A2.2.16:期待値(有利・不利) (One More)★★
赤玉5個,白玉4個が入った袋から玉を1個取り出してはもとに戻すことを3回行う.このとき,次の2つの場合のうち,どちらを選ぶ方が有利であるか. (i)赤玉1個につき300円をもらう. (ii)白玉が2個出たときだけ1500円をもらう.
% 解答(例題A2.2.16)
(i),(ii)のそれぞれの場合について,もらえる金額の期待値を$E_1$円,$E_2$円とする. (i)$E_1$について 赤玉が0個となる確率は,$\left(\frac{4}{9}\right)^3=\frac{64}{729}$赤玉が1個となる確率は,${ }_3 \mathrm{C}_1\left(\frac{5}{9}\right)\left(\frac{4}{9}\right)^2=\frac{240}{729}$赤玉が2個となる確率は,${ }_3 \mathrm{C}_2\left(\frac{5}{9}\right)^2\left(\frac{4}{9}\right)=\frac{300}{729}$赤玉が3個となる確率は,$\left(\frac{5}{9}\right)^3=\frac{125}{729}$したがって,もらえる金額を$X$円とすると,$X$のとりうる値と,それぞれの値をとる確率は,次の表のようになる. \begin{center} \begin{tabular}{|c||c|c|c|c|c|} \hline$X$&0&300&600&900&計\\ \hline 確率&$\frac{64}{729}$&$\frac{240}{729}$&$\frac{300}{729}$&$\frac{125}{729}$&1\\ \hline \end{tabular} \end{center} ゆえに,$$E_1=0 \times\frac{64}{729}+300 \times\frac{240}{729}\\ +600 \times\frac{300}{729}+900 \times\frac{125}{729} =500(\text{円})$$(ii)$E_2$について 白玉が2個となる確率は,${ }_3 \mathrm{C}_2\left(\frac{4}{9}\right)^2\left(\frac{5}{9}\right)=\frac{240}{729}$白玉が0個または1個または3個となる確率は,$1-\frac{240}{729}=\frac{489}{729}$したがって,もらえる金額を$Y$円とすると,$Y$のとりうる値と,それぞれの値をとる確率は,次の表のようになる. \begin{center} \begin{tabular}{|c||c|c|c|} \hline$Y$&1500&0&計\\ \hline 確率&$\frac{240}{729}$&$\frac{489}{729}$&1\\ \hline \end{tabular} \end{center} ゆえに$E_2=1500 \times\frac{240}{729}+0 \times\frac{489}{729}\fallingdotseq 493.8(\text{円})$よって,$E_1>E_2$であるから,(i)を選ぶ方が有利である.
% 問題A2.2.16
10本のうち,当たりくじが3本,はずれくじが7本ある.くじを1回引いてはもとに戻すことを3回行う.このとき,次の2つの場合のうち,どちらを選ぶ方が有利であるか. (i)当たりくじ1本につき300円をもらう. (ii)当たりくじを2本引いたときだけ1500円をもらう.
% 解答A2.2.16
(i),(ii)のそれぞれの場合について,もらえる金額の期待値を$E_1$円,$E_2$円とする. (i)$E_1$について 当たりくじが0本となる確率は,$\left(\frac{7}{10}\right)^3=\frac{343}{1000}$当たりくじが1本となる確率は,${ }_3 \mathrm{C}_1\left(\frac{3}{10}\right)\left(\frac{7}{10}\right)^2=\frac{441}{1000}$当たりくじが2本となる確率は,${ }_3 \mathrm{C}_2\left(\frac{3}{10}\right)^2\left(\frac{7}{10}\right)=\frac{189}{1000}$当たりくじが3本となる確率は,$\left(\frac{3}{10}\right)^3=\frac{27}{1000}$したがって,もらえる金額を$X$円とすると,$X$のとりうる値と,それぞれの値をとる確率は,次の表のようになる. \begin{center} \begin{tabular}{|c||c|c|c|c|c|} \hline$X$&0&300&600&900&計\\ \hline 確率&$\frac{343}{1000}$&$\frac{441}{1000}$&$\frac{189}{1000}$&$\frac{27}{1000}$&1\\ \hline \end{tabular} \end{center} ゆえに,$$E_1=0 \times\frac{343}{1000}+300 \times\frac{441}{1000}\\ +600 \times\frac{189}{1000}+900 \times\frac{27}{1000} =270(\text{円})$$(ii)$E_2$について 当たりくじが2本となる確率は,${ }_3 \mathrm{C}_2\left(\frac{3}{10}\right)^2\left(\frac{7}{10}\right)=\frac{189}{1000}$当たりくじが0本または1本または3本となる確率は,$1-\frac{189}{1000}=\frac{811}{1000}$したがって,もらえる金額を$Y$円とすると,$Y$のとりうる値と,それぞれの値をとる確率は,次の表のようになる. \begin{center} \begin{tabular}{|c||c|c|c|} \hline$Y$&1500&0&計\\ \hline 確率&$\frac{189}{1000}$&$\frac{811}{1000}$&1\\ \hline \end{tabular} \end{center} ゆえに$E_2=1500 \times\frac{189}{1000}+0 \times\frac{811}{1000}\fallingdotseq 283.5(\text{円})$よって,$E_1<E_2$であるから,(ii)を選ぶ方が有利である.