% 例題I2.1.14:対偶を用いた証明2 (One More)★★★
次の命題を証明せよ.ただし,$m,n$を整数とする. \begin{center}$mn$が3の倍数ならば,$m,n$の少なくとも一方は3の倍数である. \end{center}
% 解答(例題I2.1.14)
もとの命題の対偶「$m,n$がともに3の倍数ではないならば,$mn$は3の倍数ではない」を証明する.$m,n$がともに3の倍数ではないとき,3で割ったときの余りはそれぞれ$1$または$2$であるから,$k,l$を整数とすると,次の(i)〜(iv)のいずれかの場合で表せる. (i)$m=3k+1,n=3l+1$のとき$$mn=(3k+1)(3l+1)=3(3kl+k+l)+1$$$3kl+k+l$は整数であるから,$mn$は3の倍数ではない. (ii)$m=3k+1,n=3l+2$のとき$$mn=(3k+1)(3l+2)=3(3kl+2k+l)+2$$$3kl+2k+l$は整数であるから,$mn$は3の倍数ではない. (iii)$m=3k+2,n=3l+1$のとき$$mn=(3k+2)(3l+1)=3(3kl+k+2l)+2$$$3kl+k+2l$は整数であるから,$mn$は3の倍数ではない. (iv)$m=3k+2,n=3l+2$のとき$$mn=(3k+2)(3l+2)=3(3kl+2k+2l+1)+1$$$3kl+2k+2l+1$は整数であるから,$mn$は3の倍数ではない. したがって,(i)〜(iv)のいずれの場合も,$mn$は3の倍数ではない. ゆえに,対偶は真である. よって,対偶が証明されたから,もとの命題も成り立つ.$\blacksquare$
% 問題I2.1.14
次の命題を証明せよ.ただし,$a,b,c$は整数とする. \begin{center}$a^2+b^2+c^2$が偶数ならば,$a,b,c$のうち少なくとも$1$つは偶数である. \end{center}
% 解答I2.1.14
もとの命題の対偶 「$a,b,c$がすべて奇数ならば,$a^2+b^2+c^2$は奇数である」を証明する.$a,b,c$がすべて奇数であるとき,整数$l,m,n$を用いて$a=2l+1,b=2m+1,c=2n+1$と表せるから,$$\begin{aligned} a^2+b^2+c^2 &=(2l+1)^2+(2m+1)^2+(2n+1)^2 \\ &=2\left(2l^2+2m^2+2n^2+2l+2m+2n+1\right)+1 \end{aligned}$$$2 l^2+2m^2+2 n^2+2l+2m+2n+1$は整数であるから,$a^2+b^2+c^2$は奇数である. よって,対偶が証明されたから,もとの命題も成り立つ.$\blacksquare$